我々の研究

本研究室では、

  1. 定量データに基づく生命システムの適応性・恒常性の理解とその応用(定量生物学)
  2. 柔軟かつ適応的に機能する生命システムの原理を捉える数理理論(新規理論)
  3. 確率的な素子から安定で適応的なシステムを構築する設計論(工学応用)
の研究を行っています。背景は以下を、研究の詳細はそれぞれのリンクを参照ください。

研究の背景

柔軟かつ適応的に機能するロバストな生命システム

ほとんどの生命システムはとても頑健(ロバスト)なシステムです(細胞工学 生体システムのロバストネスとはなにか?)。様々な外乱や不確定かつ未知な変化にも(人工システムと比較して)驚くほど柔軟に適応し、自己の恒常性を維持します。このような生命システムの「恒常性」・「適応性」・「ロバスト性」は数十年もの昔から人々を引きつけ、新しい生物的・物理的・工学的・数学的な発想につながってきました(例えばサイバネティックス)。

近年、分子生物学・細胞生物学などの発展と共に、ミクロレベル(細胞・細胞内反応)での生体現象の動態を定量的に測定することができるバイオイメージングの技術や、細胞のゲノムや遺伝子発現などをハイスループットに解析するシーケンス技術などが発展してきました。その結果、高い恒常性を示す生命システムの構成要素である細胞は個々に大きな多様性を有し、かつその振る舞いは非常に確率的で安定性やロバスト性とは一見程遠い振る舞いをするということが分かって来ました(例えばNatureの特集など)。

信頼性の低い素子から柔軟かつ適応的で安定なシステムを作る原理は何か?

このような生命システムの特徴は、人が創りだしてきた工学システムから見ると非常に驚くべきものです。基本的に工学システムは可能な限り、素子レベルでの不確定な挙動やばらつきを抑制し、その結果としてシステム全体としての安定性を実現しています。もちろん完全に決定的に振る舞う素子は作れないので、そこには許容できるばらつき・ゆらぎは存在しますが、生命システムのそれは、工学システムと比較してはるかに大きいと考えられています(実は必ずしも厳密な検証はされていない)。 システムが基本的に化学反応のネットワークで作られているとはいえ、生命システムもある種の情報処理機構を内在した計算システムです。 では、自然が創りだした生命システムと人が創りだしたシステムは何が違うのでしょうか?

我々の挑戦

生命システムの設計原理を実験と理論を組み合わせ解明する

生命システムの素子の振る舞いが確率的でかつ大きな多様性を有することは、50年近く前に理論的には予測されていたことではあります。 しかし実際に実験的に検証できるようになってきたのは、2000年を過ぎてからのことです。 21世紀に入り、バイオイメージング技術やシーケンス技術が新たに発展したことにより、細胞・細胞内現象の「確率性」や「個性」を捉えることが可能になってきたのです。 また最近では長時間の計測から、細胞の柔軟な適応過程や進化の過程までも定量的かつ網羅的に解析することもできるようになってきました。

このような高次元データから的確に情報を取り出すためには解析の基盤となる理論が重要であり、また定量データから生命システムの設計原理に到達するには、その本質を数学的に純化することが不可欠です。 我々は、実験生物学者と協力をしつつ実際の生命現象の定量データからその生命システムの振る舞いを学ぶと同時に、その設計原理を的確に表現・解析する数学的な枠組みを構築することを目指しています(実験医学「生命システムを定量する!」)。

数理として表現された設計原理を応用する

また最終的には数学的に表現された原理を人工システムの設計に応用し、信頼性の低い素子から安定なシステムを作り出す新たな方法論を模索しています。

最近のNews

学術支援職員の募集をしめきりました
学術支援職員 募集を締め切りました多…
論文が公開されました:Physical Review Letters
日時:6月3日 タイトル:Impl…
ポスター賞を受賞しました:JST「生命システム」第一回CREST公開シンポジウム
 JST「生命システム」第一回CRE…
新メンバー
カイルル・バシャールさんが特任研究員…
新メンバー
山田 智之  (やまだ ともゆき)…
新メンバー
上村 淳(かみむら あつし) さんが…
新学術領域 特任研究員の公募を締め切りました
新学術領域計画研究「初期胚細胞動態の…

最近のTopics

How to give a good talk
Uri Alonのページで公開さ…
How to choose a good scientific problem
研究室運営を始めると、色々とこれまで…